タイにおける母語・継承語としての日本語教育研究会

Japanese Mother Tongue and Heritage Language Education and Research Association of Thailand (JMHERAT)

第2回ダブルの大学生会

私とことばと、生きるということ 〜ダブルの大学生会〜 


日時:2019年1月20日13:00〜17:30
場所:American School of Bangkok 幼稚園部

2016年4月に続き第2回ダブルの大学生会を開催しました。
今回は、タイで生まれ育ってきた人、日本で生まれその後タイに来た人、日本とタイを行き来してきた人、そしてタイと中国の国際結婚児など、生まれ育ってきた環境も両親の国籍もさまざまなダブルの大学生が集まりました。
大学生たちが「自分を語り、語り合う」ことで、彼らの今までの人生と、今を知ること、そしてなぜ日本語を学ぶのかを考えるために、言語マップを作成しお互いの経験をことばにし、語り合いました。今回日本から石黒先生をゲストとしてお迎えし、充実した4時間半の活動になりました。
※国際結婚児をダブルと呼んでお伝えします。

第1回報告では、この日の全体の模様をお伝えします。

■ワークショップ・当日の活動の流れ

13:10開始
13:15言語マップ活動
1 自分マップ作成
2 グループ内マップシェア
3 自己紹介を兼ねて全体マップ紹介
4 マップに重要シールを貼る
5 グループ内で重要シール語りシェア
15:00ポスター作成
1 大変・嬉しかったことをポストイットに書き出す(学生個人)
2 グループでポスター作製
3 重要シールポストイットのカテゴリー化・名付け
15:50休憩
16:00ポスター全体共有
1 全体に向け各グループ発表
2 他のグループのポスター見学
16:35感想記入・まとめ・集合写真
16:50懇親会
17:30終了

■会場の様子

自分の言語マップ作成し、グループ内シェアをしました。

自己紹介を兼ねて、全体でマップ紹介をしました。

大変・嬉しかったことをポストイットに書き出し、発表ポスターを作成しました。

ポスター発表↓↓

グループ4(ルチ・ガンタポン・ユウ)&グループ1(タナン・もも・ピット)

グループ2(まどか・ハル・ルイ・ナムフォン)&グループ3(のぶ・龍(ロン)・たくや)

他のグループのポスター見学し、最後に、石黒先生から感想をいだたきました。

■感想

  • 今日は新しい友達を知ることができました。彼らが日本語とタイ語をきっかけにして、今ここにいると知りました。しかも、同い年というところがすごいところです。
  • みんなダブルなのに、一人ずつ環境が違っているが、ダブルの問題はほとんど似ている。
  • 同じダブルで環境が違っても、同じ悩み(大変なこと、困ったこと)やうれしいことがあるとわかりました。
  • 色んな人たちがいるなぁと思いました。自分の今まで悩んでいたことを言ったことでスッキリしました。同じくハーフの人たちに会えてうれしかったです。


石黒広昭氏に感想をいただきました。

ワークショップに参加したみなさん

今回、みなさんに会えてとてもよかったです。
タイは日本から飛行機に乗れば7時間ほどで移動できるところです。しかし、飛行機を降りるとそこにはたしかに違う国、社会、人がいました。複数の文化、言語を持って生活する人たちは今や数え切れないほどいますが、タイと日本をつなぐのはみなさんです。今回のワークショップで学生同士、学生とスタッフ、様々な出会いがあったのではないでしょうか。人と触れるのはいいですね。人と語り合うのはいいですね。そんなことを実感しました。
話すことで自分の過去を語り直すことができます。今回、書かれたマップを見て、自分のことを話し、そして他の人の話を聞き、多くの新しい物語がワークショップで生まれました。その場に立ち会うことができたことは大変光栄です。深澤さんを中心に多くのスタッフがこの場を支えていることもよくわかりました。その努力には頭が下がります。そうした苦労を知りながら、今後もこうした場が続くと良いと思っています。許されるならまた近いうちにお邪魔させて下さい。ありがとうございました。

2019.1. 25. 石黒広昭(立教大学文学部教授)


今回は、言語マップを用いた自己紹介が予想を超えて盛り上がり、「なぜ日本語を学ぶのか」まで一緒に考えることができませんでした。そこで、2週間後(2月3日)に改めてワークショップを開催し、引き続き一緒に考えていくことになりました。



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